翻訳により国境を越えたビジネス関係を構築したり、異国の文化や生活様式を知ることができるだけでなく、最先端の医療技術を広めて人命を救うことさえあります。「翻訳がこれまでに世界にもたらしたものは膨大な数に及ぶ」。これを念頭に置いて、歴史にその名を残す翻訳家とその業績をもう一度調べ直しました。史上最高の翻訳家たちをここでお祝いしませんか?
ヒエロニムス
世界で最も有名な翻訳家の1人であり、世界の形成に最も影響を与えた翻訳家の1人がヒエロニムス(AD 347-420)です。ギリシャ語とへブライ語からラテン語へと訳された「ウルガータ訳」聖書はその後千年以上にわたってカトリックの公式な翻訳として使用されました。
ホルヘ・ルイス・ボルヘス
著名な作家のホルヘ・ルイス・ボルヘスは才能溢れる翻訳作家をしても知られており、わずか9歳でオスカー・ワイルドの「幸福な王子」をスペイン語に翻訳したといわれています。ボルヘスはエドガー・アラン・ポー、ウィリアム・フォークナー、ラドヤード・キップリング、ウォルト・ホイットマン、ヴァージニア・ウルフ、アンドレ・ジッド、ヘルマン・ヘッセ、フランツ・カフカなどさまざまな作家をスペイン語圏の読者のために翻訳しています。その翻訳は「幸せで創造的な背信行為」の原則に基づくもので原文に忠実であることは強制しません。
コンスタンス・ガーネット
コンスタンス・ガーネットはロシアの文学作品を英国の読者に紹介しました。ガーネットはトルストイ、ドストエフスキー、チェーホフなどの作品を翻訳しましたが、すべてのロシア作家が彼女を評価していたわけではありません。ウラジミール・ナボコフは「原文の不明な単語や成句が訳文では省略されている」と痛烈に批判しています。とはいえ、ガーネットは71冊に及ぶ翻訳作品により英語圏の読者にロシアの歴史と文化を広めるのに大きな役割を担いました。
グレゴリー・ラバッサ
グレゴリー・ラバッサはスペイン語とポルトガル語の作品を英語圏の読者に紹介しました。フリオ・コルタサル、ジョルジェ・アマード、ガブリエル・ガルシア=マルケスなどラテンアメリカの偉大な作家の翻訳は、マルケスをしてオリジナルの『百年の孤独』よりもラバッサ訳の方が出来がいいと絶賛しているほどです。
リチャード・バートン卿
イギリスの探検家、人類学者、翻訳家、作家、軍人、東洋学者、地理学者、民俗学者、スパイ、言語学者、詩人、剣士、外交官というユニークな肩書きを持つリチャード卿は、高尚な文学作品よりも俗物的な作品を好みました。『カーマ・スートラ』やヴィクトリア朝の偽善的な性倫理に疑問を投げかけて物議を醸した『千夜一夜物語』の英訳が代表作に数えられます。
エドワード・ジョージ・サイデンステッカー
文学小説の貯蔵庫、エドワード・ジョージ・サイデンステッカーは日本小説の翻訳に深く関わった人物です。三島由紀夫、川端康成、谷崎潤一郎などの作家はサイデンステッカーの努力なくしては現在のように世界的な作家になっていなかったかもしれません。彼らの作品を英語圏の読者に紹介しただけではなく、川端康成が日本人初のノーベル文学賞(1968年)を受賞したのもその翻訳によるところが大きかったといえます。
まとめ
上記の他に歴史書に記すべき翻訳家はいますか?現代活躍中の翻訳家の誰が、翻訳(そして社会)に貢献した人物として歴史に名を残すでしょうか?下記のコメント欄であなたの意見を教えてください。